行政や教育・研究機関との連携強化

小水力発電の普及・拡大には行政はもちろん、地域の教育機関や研究機関との連携も不可欠との観点から、以下の取り組みを進めます。

行政イベント等への積極協力

小水力発電に対する一般の認識を高め、関心を持ってもらうことを目的に、行政など公的機関が行う再生可能エネルギー関連のイベントには、積極的に参加するなどの形で協力していきます。また、地域で開催されるセミナーや研究会などへの講師派遣、県内学校に対する「出前授業」などにも取り組み、県内で生活する幅広い世代に対し、小水力発電に対する理解促進に取り組みます。

ダム水路主任技術者育成に向けた取り組み

小水力発電普及の大きな障害となっていたダム水路主任技術者の人材難解消を目指し、許可選任の要件が拡大・明確化されたことを受け、足利工業大学で養成講座が早期に開講できるよう、全国小水力利用推進協議会と連携しながら取り組みます。
また、一定の条件を満たした高等専門学校や工業高校、農業高校の卒業生にもダム水路主任技術者許可選任の道が開かれたにもかかわらず、教育現場での認識が高まっていない現実に鑑み、高校農場協会など関係団体と連携して学校関係者に対するダム水路主任技術者新制度のPRを図ります。

公的制度資金の拡充

小水力発電の普及に際しては、合意形成や人材確保のほか、多額の初期投資をどのように調達するかが課題となります。現状では必要な資金を民間融資に頼ることが多い一方で、金融機関に水力発電事業に関する与信ノウハウが蓄積されていないこともあり、融資の審査に手間取る例が目立ちます。こうした金融面での隘路を解消するためには金融機関に「安心感」を与えることが不可欠で、その手段として県による債務保証制度や一括リース、資本性劣後債などといった新たな制度資金の創設を働きかけていきます。

小規模発電設備の自主保安ルール策定

先の経済産業省令等の改正に伴い、農業用水路などに設置される出力20kW未満の水力発電設備については一般電気工作物として扱われることとなり、定期点検などの負担が大きく軽減されるとともに、工事計画の届け出等も不要となりました。その一方で、今回の省令等改正に当たっては、保守負担が軽減されることで安易な設置・運用を招き、水車や発電機が故障しても修理されることなく放置され、新たな「川・農業用水の粗大ごみ」となることへの懸念が一部の関係者から出されています。
協議会としては、こうした問題の発生を防止する観点から、規制緩和対象の発電設備について定期点検の実施や保守体制の明確化、発電所を廃止する際の設備撤去義務などを盛り込んだ「自主保安ルール」を策定するよう、県などに働きかけていきます。

農山漁村再生可能エネルギー法に基づく協議会設置の推進

地域における農林水産業と調和した形で、合意形成を進めながら再生可能エネルギーを導入することを目指した、「農山漁村再生可能エネルギー法」の施行から1年余りが経過していますが、県内においてはこの法律を積極的に活用しようという動きはほとんどみられないのが現状です。
しかし、「地域における合意形成が不可欠」という小水力の特性を考えると、この法律のスキームは合意形成の推進に役立つほか、法的手続きのワンストップ化が図られることや小水力では耕作放棄地に該当しない場合でも第1種農地の転用を可能としていることなど、小水力の普及にとってメリットが大きいといえます。相談業務などを通じて農山漁村再生可能エネルギー法の活用が適切と判断される案件については、市町村などに同法に基づく協議会の設置や基本計画の策定などを働き掛けていきます。