小水力の普及・拡大に向けた取り組み

栃木県内において、地域が主体となった小水力等利用事業の普及・拡大を加速するため、「普及部会」が中心となり以下の取り組みを進めます。

相談・事業化支援業務

個別地点の適性や事業性判断をはじめ、各種許認可に関連する行政折衝、電力会社との系統連系手続きなど、小水力活用に関する「ワンストップ相談窓口」として、協議会が機能することを目指します。

特に、相談のきっかけとなることが多い個別地点の適性診断については、来所による相談や図上判断、協議会スタッフによる簡易診断も行うとともに、適性や事業性に欠けると思われる案件はこの段階でふるいに掛けて関係者によく説明し、後々に問題を残さないように努めます。
一方、事業化が見込める案件については簡易診断後も積極的にサポートを進め、合意形成や資金調達、事業主体の枠組みといった事業者が直面する諸課題の解決に向けて、助言や交渉への同席などを行うとともに、必要に応じて専門家や専門企業・機関を紹介し、会員が取り組む小水力事業をサポートします。
なお、本業務については、第1段階の簡易診断以外は原則として協議会の正会員を対象に行うこととします。

電気の有利販売に向けた取り組み

会員の経営基盤の安定を図りつつ、売電収益を原資とする地域貢献をより進めていくためには、小水力によって得られた電気の有利販売が欠かせません。協議会では、電気の有利販売に向け、以下の取り組みを進めていきます。

(1)PPS等へのビジネスマッチング
特定規模電気事業者(PPS)や大口需要家など、小水力によって生み出された電気の価値を認め有利な価格で引き取る意思のある事業者と、会員である発電事業者とのビジネスマッチングを積極的に行います。一方、小水力によって生み出された電気の販路拡大についても、取り組みを継続的に進めていきます。

(2)地域PPSの育成
経済産業省が新エネルギー小委員会等で打ち出した、再生可能エネルギー電気の長距離送電をできる限り減らし、地産地消により電気を消費させるという方針に対応するとともに、売電 によって得られる財貨の地域内循環を拡大する観点から、小水力によって生み出された電気を地域で積極的に利用する「地域PPS」を積極的に育成します。
また、地域PPSの育成において重要な課題となる専門知識を備えた人材の育成や電力供給のオペレーションについては、適切な専門機関との連携を図ってまいります。

(3)再生可能エネルギー電気原産地証明制度の導入
小水力をはじめとする再生可能エネルギー電気の有利販売や販路拡大には、電気の原産地や発電方法の公的な証明が必要との観点から、発電事業者や需要家を対象とした「再生可能エネルギー電気原産地証明制度」の導入を、県に強く働き掛けることとします。
なお、原産地証明を売買の対象とした場合には再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の利用ができなくなる点や、制度を大がかりにした場合は行政コストが増大する点を踏まえ、原産地証明には「グリーン電力証書」のような金銭的な価値を与えないこととするほか、卸電力取引所等で売買される電気は証明の対象外とすることで原産地証明の有価証券化を防ぎ、あくまでも「行政による再生可能エネルギー電気の原産地証明」に的を絞ったスキームとします。

小水力とちぎモデルの実現

地域が主体となった小水力発電によって得られた売電収益の一部を地域の山林や河川の保全・整備費用に充当するほか、小水力発電所の建設と林野整備の積極的な連携による森林環境の保全を通じて、地域に対してより高いレベルの収益還元を行う事業モデル(小水力とちぎモデル)の実現を目指します。小水力とちぎモデルの実現に向けては、国、県、市町村などに対して必要な施策の導入を求めていきます。

業界の課題解決に向けた取り組み

規制緩和を経てもダム水路主任技術者の人材難が続いていることや、早ければ今夏にもダム水路主任技術者業務について保安法人等への外部委託が認められるようになることに対応し、協議会として保安法人の設立を積極的に支援し、会員事業者が早期にサービスを利用できるよう取り組みます。